―不可能な共存―
「どういう意味?」









「あたしに疑いがかかればいいと思ってた。ツバキがやったってバレなければいいと思ってたんだ」








ユウリは穏やかな表情を変えないで言った。



「どうして…?」



「だってあの子がやったのはいやがらせとかのレベルじゃないじゃん。ほとんど犯罪だし。だから守ってあげないと」


「守る…?」


「友達だもん。当たり前でしょ?」


「でも…どうしてツバキに逆らわなかったの?あんたはなんにも悪い事してないじゃん。友達…だから?」


「ツバキの辛さを分けてほしかったから。


ツバキは自分が脅してるからあたしが言うこと聞いてるんだって思ってたみたいだけど」



「脅されてたの?」




「あんたの父親を警察に売るって。


自分も売春で捕まるだろうけどそれでもいいからって。


でもあたしは父親よりもツバキが捕まる方が嫌だった。


父親なんてむしろ捕まるべきだと思ってるけど、ツバキは何も悪くない」





この子は…





どんな人間も憎まずに愛せる女神のような子だ。
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