―不可能な共存―
「ごめん。今の気にしないで。夢の話だから」



ユウリは悲しそうな目をあたしに向けた。



「冗談でもないし、夢でもないよ。コウスケは死んだの」



ユウリの言っている事の意味がわからない。



今もまだ夢の中にいるのかな。



「だから、それはもういいから」



あたしはユウリに笑いかけたが、ユウリは悲しい表情のまま笑ってはくれなかった。



「あたしは…もう先生にウソついたりしないよ」



ユウリは泣きながらあたしを抱きしめた。



でもあたしは泣けなかった。



「コウスケに会いに行こうね」



ユウリはあたしの頭をなでながら、我が子を諭す母親のように言った。



あたしは、まだよくわらかないまま小さくうなずいた。
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