―不可能な共存―
看護士に案内してもらい、霊安室にきた。



冷たい鉄のドアを押し開けると、部屋の真ん中にコウスケはいた。



顔には白い布がかぶさっている。



「顔、見てあげようか」



ユウリはコウスケの顔にかぶせてある白い布を取り去った。



あらわれたのは本当に眠っているようなキレイな顔だった。



コウスケの頬に触れると、ひんやりと冷たい。















コウスケのキレイな緑色の目はもうあたしを映してくれない。









コウスケの制服の甘い香りはもう感じられない。








コウスケはもうあたしに笑いかけてくれない。










コウスケは…















もう二度と動かない。










ユウリが泣いてる。



ハルが泣いてる。



ヤマトが泣いてる。



アラタが泣いてる。










だけどあたしは泣けない。







少しも涙が出て来ない。




















ただ、空を見たくなった。
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