―不可能な共存―
コウスケの遺影はとてもいい物だった。



すごく幸せそうに笑っている。



いつ撮った写真なんだろう。



こんな顔をしているコウスケの隣にいたかった。



「いい顔だね」



制服を着たユウリが言った。



「そうだね」



あたしは微笑んで言った。



コウスケが死んだと聞いた時から、あたしはまだ一度も泣けないでいた。



「藤嶺さん…」



黒いスーツを着た男があたしを呼んだ。



コウスケの手術をした医者だ。



「何ですか?」


「本当に…申し訳ありませんでした!!」



医者はいきなりあたしの足元で土下座をした。



「そんな事されても困ります」



コウスケに両親はいない。



だからこの医者は誰に謝ればいいのかわからなかったのだろう。



コウスケが死んだ原因は、頭の中に出来ていた小さな傷だった。



あたしは医者じゃないからしっかりとは理解できていないが、とにかくこの医者がコウスケのその傷を見逃した。



内臓の治療は完璧だったが、頭の傷はわからなかったとの事だ。



わからないなんて事はあり得ない。



しっかり検査していればわかったはずなのに…
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