―不可能な共存―
「で?お前、今度は何やらかした?」



少女は小さく舌打ちをした。



「なんもやってねぇよ」



南條は少女の頭を鷲掴みにし、ワサワサと揺らし始めた。



「だったらあのおっさん、なんであんな怒ってたんだよ?」


「あいつが勝手に勘違いしてるだけ。っつうか、頭離せ。酔う」



南條は少女の頭から手を離し、今度は少女の目を覗き込んだ。


「勘違いって?」



少女は南條から目を離し、そっぽを向いた。



「お前がその気なら、今日も俺の部屋決定な」


「はぁ?またかよ?!お前の部屋きたねぇからやなんだよ」


「じゃぁお前が掃除しろよ」


「絶対やだ。あんた、女いないの?」


「いたらお前なんか部屋に入れねぇよ」


「今のムカついたから今日行かねぇ」


「お前、来なかったら…」


「なんだよ?」


「教科書隠すぞ」


「お前はガキかよ」


「まっ、とにかく来いよ」



少女はふてくされた表情にはなっているが、心底拒んでいるようには見えなかった。
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