―不可能な共存―
「お前、何者?」



背後から聞き覚えのある声が聞こえた。



少女は後ろを向く。



「南條」



そこには少女の担任の南條ソウタがニヤニヤしながら立っていた。



「どんだけいいヤツなんだよ。何戦隊?」


「てめぇふざけんなよ!」



口調はキツいが、少女は明らかに照れている。



南條は嬉しそうだ。



「飯、おごってやるからついてこい」



南條はなかば強引に少女を自分の車に乗せた。



「誘拐で訴えるぞ」



少女は冗談とわかるようにそう言った。



どうやら彼女はこの南條という男には逆らえないようだ。



「そんな事したらマジで誘拐するぞ」


「教師がなんて事言うんだよ」

「お前、俺の事ちゃんと教師だと思ってんだ」


「自惚れんな」



端から見ると、この2人は仲のよい兄妹のようだった。



子供っぽいが面倒見のよい兄と大人びてはいるが手のかかる妹。
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