全てがキミだった
「……ちゃんと、説明してくれなきゃ、わかんない」
どうして、わたしはこんなに公平に弱いんだろう。
公平の上目使いに負けるなんて。
わたしの不機嫌な原因を知った公平は、わたしの隣でハハッと笑った。
「たまには、体を動かすのもいいかなって思ってさ」
「公平、野球やってたの?」
「部活とか本格的なやつじゃないけど、こうやって近所のガキども集めてやってたんだ。
いつもはもっと広いとこでやるんだけどさ、今日はお前も誘おうと思ったからここにしたんだ」
『おらっ、もっと早く走れっ!!』
と、大声を出す公平の横顔は、あの子供たちと同じで、とても無邪気な顔をしていた。