全てがキミだった


「――らない」


震える声を抑えて、ボールを公平の胸に押し付けた。


「いらない。
ていうか、もらえない」



初めてかもしれない。


公平に向かって、感情のままに声を出したのは。


もう、わたしの中では、とっくに限界を超えていた。


わたしは、都合のいい女じゃない。




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