全てがキミだった
公平の言う『罰ゲーム』も、体育の時間に公平の前をとろとろ走っていたわたしのせいで、一位を取れなかったという、当てつけのような理由からだった。
まるで、断ることの出来ないわたしをうまく利用しているかのように。
いや、うまく利用されていたんだ。
それは、いまでも変わることはない。
「ちゃんと切れよな。
イケメンが台無しにならないように」
わざわざ職員室からもらってきた新聞紙の上に胡坐をかいて座り、わたしの手鏡を持って勝手な事を言う。
何度か鏡越しにこちらを見る。
その度に目のやりどころを失った。
体中の血液が顔の中心に集まって、わたしの顔は熱を帯びていった。
それを夕陽のせいにする。