全てがキミだった
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「きゃっ!!!」


突然、足元で泥が跳ねた。


嫌な事を思い出していたわたしは、この気持ちの悪い感触で、現実へと引き戻された。


「なにボーっとしてんだよ」


足元の泥を見てから公平に目を向けると、公平の手には二つの水風船が握られていた。


さっき、コンビニで買ったというやつだ。


過去のわたしと、今のわたしの気持ちが複雑に入り交じり、どう反応したらいいのかわからない。


次から次に思い出の品を持ち出して、公平は何をしようとしているのか。


何かを伝えようとしているのはわかる。


だけど公平は、肝心な事を口に出して言わなかった。


またわたしを困惑させようとしているのか――…



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