全てがキミだった


「やっぱさ、美容室行きなって。
ジクザグになっても知らないからね」

「おまえ、さっきの聞いてなかったのかよ」

「………」

「金なんてないの」

「そんなの、わたしには関係ないじゃん」
 

自分でも、さすがに可愛くないなと思った。


言ってしまった後に後悔するなんて、今までに腐るほど経験しているというのに、なんて学習能力がないのだろう。



教室の窓から西日が差しこんで、沈黙になったわたし達にスポットライトが当たった。
 

ギラギラする目を細めながら、右に流れる雲を見上げる。


そこには、指先で潰せるほどに小さい飛行機が、お尻から白い線をだしてゆったりと飛んでいた。


「俺は、池内に切ってもらいたかったの」
 


ほら、また勝手な事を。




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