全てがキミだった
「今の誰だったの?」
二階で洗濯物を干していたお母さんが、ちょうど階段から降りてきた。
「あ、ちょうどよかった。
贈り物だよ。綾から」
『割れ物注意』と書かれているのにもかかわらず、わたしはお母さん目がげてそれを投げた。
少し重みのある荷物を見事にキャッチしたお母さんの腕が、ガクンと下に下がる。
「何かしら」
お母さんが首を傾げながら、リビングでその袋の口を開ける。
袋から出てきたものは、大切にプチプチでくるまれていた。
「香水だ」
小さな箱から出てきたのは、かわいらしい香水だった。
わたしもよく知っている、ブランド物の。
ブランド物の値段は詳しくはないが、この小さな香水でも、かなりの値段がしたような気がする。
たぶん――。