全てがキミだった


「誕生日おめでとう」


さりげなく言ってみる。


「はいはい、ありがとう」


「今度さ、バイト代出たら何かプレゼントするから」

「期待なんてしてないわよー」


たっぷり嫌味の含まれた言い方に、ズキリと胸が痛んだ。


あー、何をやっても駄目だなわたし――。


荷物の中に手紙も一緒に入っていたらしく、お母さんはそれをゆっくりと読んでいた。


その間に、わたしはキッチンへ向かい、牛乳を入れる。


「お母さんにも、入れてちょうだい」

「へーい」


グラスに牛乳を入れてテーブルに戻ると、読み終わった手紙が無造作に広げられていた。


『いつまでも若いお母さんでいてね!』


そう書かれているのが、嫌でも目に入った。




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