全てがキミだった
「綾に彼氏。あの綾に彼氏。
どんな人かしら。イケメンかしら。
あっ、お母さんエステ行った方がいいかしらね。
どんな料理が好きなのかしら。
あー、なんか緊張するわね」
あぁ――…
お好きにどうぞ。
わたしは、妙にテンションの上がっているお母さんを尻目に、携帯を取り出した。
履歴書なんて書いている場合ではなくなった。
お母さんのこの変なテンションを、抑えなければいけない。
だけど、その前に――…
わたしは、お母さんの鼻歌に耳をふさぎながら、メールを打った。