全てがキミだった
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「夢、追える日はきっとくるよ。」
 

帰り道。


生ぬるい夕方の風を浴びながら隣を歩く公平に、優しく言った。
 

そんな事確信なんて何一つなかったのだけど、ひどく落ち込む彼になんとか光を与えたかった。
 

もちろんわたしにも夢なんてカッコイイものはなかったけど、あの頃のわたしはまだ諦めずに夢というもの追い続けてはいた。
 

だから、今の公平の悩みも痛いほどわかった。


「おまえは?
どうすんの、進路。やっぱ大学?」

「大学は無理っしょ。わたし馬鹿だし、今から勉強したってもう間に合わないよ。それに、大学行っても学びたいものもないし、就職する予定」
 


そっか――。


そう微笑む公平の顔は、オレンジ色だった。




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