全てがキミだった


わたしは、今にも消えそうな儚い飛行機雲を見上げて自嘲するように微笑んだ。
 

心に出来た傷は癒える事はない。


むしろトラウマになり、現実から逃げている自分がいる。
 

もう、6年も経っているというのに。


『いい加減忘れなさいよ』


何度、同じ台詞を言われてきたか分からない。
 

まだ、引きずっている。
 

その証拠に、わたしの部屋で何年も放置されているものがある。


百円均一で買った茶色い箱。
 

何が飛び出すわけでもないのに、ガムテープでグルグルと頑丈に止めて、絶対に蓋が開かないようにした。
 

そうしたのは、いつだっけ。
 

グルグル巻きにしたのはわたし自身なのに、その前を通る度にふと目がいく。
 

なんだ、まだ未練たらたらなんじゃん。




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