全てがキミだった


左側には山、右側には海。


その間を二車線の道路が走る田舎道。
 

ずーっと真っ直ぐに続く道は、とても見晴らしが良かった。
 

押しては引いて、押しては引いて。


波の音が山に跳ね返って立体的な音を奏でた。
 



ちょうどこの頃だった。


公平に一つ上の彼女がいるという噂を聞いたのは。
 

色白で黒髪で華奢な女の子らしい。
 

名前は『ミサキ』。


そんな情報が、どこからともなくわたしの耳に入ってきた。




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