全てがキミだった
「幼馴染なんだってさ。」
それは、思っていた通りそんなに時間がかかることもなくわたしの耳に入ってきた。
わたしの耳に入れたのは、親友の香織。
わたしが公平のことを好きだと知っていながら、香織は何も隠す事なくわたしに真実を話した。
香織に隠されたところで、すぐにわたしの耳に入るのはそれこそ時間の問題だと香織も知っているから、言葉を作らずにそのままわたしに伝える。
その方が香織ともぎくしゃくならないと思うのだけれど、やっぱり、どこかが痛かった。
「世の中にはいろんな男がいるじゃん。
いつか、公平君じゃなかったのかもって思える日がくるよ。きっと」
香織が、教室の窓から身を乗り出しながらそう言った。
誰かを探すようにグランドを見渡した後、急に顔を綻ばせて大きく手を振った。