全てがキミだった
「何すんの?ヤバいって。これって、不法侵入でしょ?」
「そんなの関係ないよ。で?どの場所に公平と一番思い出があるの?」
わたしは綾に向い、はぁ?と眉をあげる。
「亜美がこれ以上公平の事を引きずらないように、今ここでけりをつけるんだよ。
今日一日だけは時間をあげるから、思う存分公平を思い出しなよ。
そして、きっぱり諦めるの。わかった?これは強制だからね」
公平をきっぱり諦める――。
本当にそんな事が出来るのだろうか。
今、ここで。
しかも、公平と実際過ごしたこの場所で――。
そんな事をしたら、わたしはそれこそ本当に公平から抜けられないような気がする。
わたしの体は、あの時の事を覚えていた。
公平を求めるように、足があの場所に向かう。