全てがキミだった


お母さんは昔からそうだった。
 

デパートの化粧品売り場で働くお母さんは、その辺の“お母さん”よりうんと若い。
 

普段着ている洋服のせいなのか、化粧品売り場のお姉さん独特の化粧の仕方のせいなのかはわからない。


お母さんのくっきり二重に彩られたパープルのアイシャドウには、幼い頃から綺麗だなと憧れを持っていた。


だけど、憧れて真似をした高校二年生の時に、絶対にパープルは使わないと後悔した。


まるで喧嘩をした後のような顔になったから。
 

なぜ、お母さんにだけ似合うのかはわからない。


前に、だってパープルはお母さんの色だものと言っていた。
 


お母さんは、一人四役をこなしている。
 


バリバリ仕事をこなし、せっせと家事を済ませ、よきお父さんのパートナーであり、わたし達三姉妹の母である。
 



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