全てがキミだった
最近、体重が70キロを超えたとぼやきながらソファーに寝転ぶ姿と、冬は寒くないのかと心配になるほどの寂しい頭。
あたしの瞼の裏で、二パッと笑って消えて行った。
「だよね」
「そうよ」
「じゃさ、いつ好きになった人が一番好きだったの?」
「高校の頃ね」
お母さんは、空になった湯呑にお茶を注いだ。
「一年付き合ったんだけどね、ダメだった」
「どうして?」
「お母さんから告白して付き合ったんだけどね、彼が本当に好きだった人はお母さんの親友だったのよ」
そんな事よくあることよ。というような感じでお母さんは言った。