全てがキミだった
緊張のあまり声が震える。
立つことが精一杯で、わたしの足は歩くという動きを忘れたみたいだった。
一歩二歩と足を上げ、公平に近づく。
――と。
震える足が絡まり、わたしは体勢を崩してしまった。
前のめりになり、素早く体勢を整えようとすると、慌ただしい音に公平がくるりと振り向いた。
「なにやってんだよ」
あの頃と同じように、呆れたように眉間にシワを寄せる。
「ほんとにドジだな、おまえ」