全てがキミだった


「懐かしいな」


やっぱり、一番に口を開いたのは公平の方だった。


いつも沈黙になると、公平から話を振ってくる。


「……うん」

「なんかさ、急にここに来たくなって。おまえと」


そう言って、隣のわたしを見て微笑む。


容赦なく肌を差す太陽が、わたしの心を痛める。


やっぱり、公平はホストに向いているのかも。


そう思った。


その微笑みは卑怯だ。




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