全てがキミだった
瞳を閉じると、元気な子供達の声が聞こえてきた。
夏の、緑の匂いをたっぷりと含んだ風に乗って。
『回れ回れ〜』
ボールがバットに当たる軽快な音の後、賑やかな声が公園を支配した。
小さな手足を必死に振りながら、ベースを踏む子供達。
その無邪気な姿を、わたしはいつもこのベンチに座って見ていた。
たまに、子供達と一緒になって野球をする公平と目があった。
その度に、グンと手を前に出してピースを作っていた公平。
八重歯をむきだしにして、子供のように笑った。