全てがキミだった
「早かったな」
水道の水を飲んでいた公平が、口元の水を滴らせながら顔を上げた。
「ウチから近いから」
「俺に感謝しろよ。
わざわざ、おまえんちから近い場所を選んだんだからさ」
口元の水を手の甲でぬぐいながら、相変わらずわたしの大好きな笑顔を見せる。
「どうしたの?急に」
「おまえが暇そうにしてるだろうと思って、誘ってみた」
「もし、わたしに用事があったらどうしてたの?」
少し嫌味ったらしく言うと、公平はフンと鼻で笑ってわたしを見下ろした。
「強がんなよ。暇なくせに」