感方恋薬-知られざる月の館-
「今日は掃除当番で少し遅れると言ってましたが、間も無く顔を出すと思いますよ」


「あ…そう」


蓼食う虫も何とかって言うけど、もの好きって言うのは居るもんだ。


しかも、花なんて持って来る処を見ると、新入部員は女だな。


あたしは強く願った。


その子が五体満足で、無事に学校を卒業出来ますようにと。


「時間が勿体ないので、先に実験はじめましょう」


幸はそう言うと、あたしを椅子に座らせ、部室の中央に置かれた机の上に剥き出しの電子パーツがてんこもりにつけられた装置から伸びる数本のケーブルの内、一本をあたしの米神に張り付けた。
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