感方恋薬-知られざる月の館-
ふむ、幸よ、その根性は認めてやるぞ。


が、だ、当然その周りには一歩引いた人の輪が出来てる事に気が付けよ。


「よっ、おっはよう貴子」


あたしの肩を思いきりド突いて則子が現れた。


「何時もと違う環境で、勉学に勤しむと言うのも新鮮な発見が有って面白いモノよのぉ」


則子も状況に動じない奴だった。


吹き飛んだ教室は、とりあえずそっちに置いといて状況を楽しもうとしている。なんで、あたしの周りには、こんなんしか集まってこないのだろう。


やはり『類は友を呼ぶ』なのであろうか。


いや、ちがう、あたしはそんなに変わった性格も人格もしていない筈だ。


極めて普通。


ただ、特異な状況に巻き込まれやすい運命に翻弄されているからこんな事になっているのだと、心の底から力説したい。あたしは全く悪くない!
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