感方恋薬-知られざる月の館-
         ★

さて、放課後である。

自分で言うのもホントに間抜けだが、あたしは幸と紀美代のペアによって、又しても視聴覚室に拉致されてしまったのであった。


ホント、笑うしか無い…もう、いい加減、どうにでもしてくれって言う感じだった。


「貴子さん、今日こそは、カンっぺきです」


麦藁帽子に、虫取り網、首から虫籠をぶら下げて幸が嬉しそうに私に話す。


しかし、あたしの態度は冷たい。


ほぉ、そうかい。


こりゃ決まったな視聴覚室の破壊も…斜に構えて椅子に座って足を組み、机に頬杖を付きながらぼんやりとそんな事を考えた。


だらんと席に座りながら、あたしの脳裏に『退学』の2文字が浮かんだ。


…あたしのせいじゃぁないのに。
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