感方恋薬-知られざる月の館-
「貴子さん、今回は、前回の反省を踏まえて、幽霊捕獲電磁籠の強度を2倍にしました」


あたしは瞳だけ幸に向けると「2倍?」と、興味無さそうな表情で幸に訪ねた。


「そうです。この籠の柵の太さを、2倍にしてみました」


…だから幸、それで解決する問題じゃぁ無いんだってばさ。


「さあ、さあ、さくさくと実験してみましょう」


幸は何時もの幽霊検知器からケーブルを延ばすと、あたしの額に張り付けていく。


もう、抵抗する気力も無いもんね。好きにして…


投げヤリなあたしとは正反対に、幸のテンションは、回を重ねる度に上がっている様だ。作業を続ける幸は、今にも踊り出しそうな程、うれしそうな雰囲気だ。
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