感方恋薬-知られざる月の館-
「貴子さん、そう言えば、貴子さんて、今付き合ってる男性はいらっしゃるんですか?」


ぐお、口から心臓が飛び出すかと思ったぜ。何、若様、あたしの行動に興味が有るのか?あたしの事知りたいのか?えへ、、えへへへ、そうだとしたら嬉しいじゃないですか。


…い、いかん、こんなだらしない表情を見せてはいかん。


あたしは可憐な乙女で通さねばならない。


あたしは表情をきりっと引き締めると若様に向き直る。


「いいえ、付き合うだなんて、学生の本分は学問ですわ。それを差し置いて、殿方と付き合うだなんて…」

おお、自分で自分の言葉に鳥肌が立つぜ。それと同時に、この妙な落胆…自分の言葉に自分で嫌気が刺してりゃ世話ぁ無いぜ。
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