感方恋薬-知られざる月の館-
「はは、そうですよね。申し訳ありません。無神経な質問をしてしまって」


若様が、爽やかに微笑む。あたし、それを見て、悶絶する。


「あ、あの、若様。もし、あたしに付き合ってる人が居なかったら…」


「はい?貴子さんが誰とも付き合ってなかったら?」


「あたしと、お付き合いして頂けますか?」


ああ、ついに言ってしまった。ど――しようど――しよう、きゃいきゃい。


「…貴子さん…大丈夫ですか?」


「へ?」


う、いかんいかん、ついはしゃいでしまった。あたしは、す―は―す―はと深呼吸して体裁を繕う。
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