感方恋薬-知られざる月の館-
         ★

「おーっす、貴子、元気ぃ」


校庭から校舎に向かう道すがら、とぼとぼと歩くあたしの背中を則子がばんばん叩きながら、これ以上は無いって言う位の上機嫌で、あたしに声をかけて来る。


「う、お、おはよ…」


どんよりしたあたしの表情に能天気に明るい則子は一歩引きながらあたしに訪ねた。


「な、なに…どうかしたの…」


「う、いや、別になんとも」


「おかしな奴だな~そんなんじゃぁ男が寄って来ないぞ」
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