感方恋薬-知られざる月の館-
則子は再び能天気にあたしの背中を、ばんばん叩く…則子、いったい何がそんなに楽しいんだ?

         ★

「貴子さん、貴子さん、貴子さん」


教室(教室代わりの視聴覚室ね)に入ったら入ったで、幸が犬っころみたいに、あたしにまとわりついて来る。


あたしは、しっしっと、幸を追い払おうとしたが、最近の幸は強気だ。


「今日も放課後空いてますよね?楽しく実験しましょうね」


「はへ…」


幸の、ありがたいお誘いに、曖昧な返事をすると、幸は全身で喜びを表現すると、自分の席に戻って、訳の分からない機械をいじり始めた。
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