感方恋薬-知られざる月の館-
全員が固まった…


「な、何をするんだ!」


一番最初に正気に戻ったのは宗一郎だった。


が、実態がはっきりしない若様を何とかする術を彼は持ち合わせては居なかった。


生徒会長は若様の熱いキスに、ぼうっとしている様で動く気配が全く無い。


宗一郎はそんな彼女を、思いっきり揺すって正気に戻る様に促し彼女はようやく正気に戻った。


同時に生徒会長赤面…


彼女は、ばっと椅子から立ち上がると視聴覚室から脱兎の如く逃げ出した。


一瞬たじろいだ宗一郎も彼女を追いかけてその場から居なくなってしまった。


視聴覚室に一陣の乾いた風が吹いた様な気がした。


あぁ、根無し草が、転がって行く…
< 173 / 219 >

この作品をシェア

pagetop