感方恋薬-知られざる月の館-
「あぁ…」


生徒会室から追い出されたあたし達は呆然と廊下に立ちつくす。


そして幸はがっくりと膝を付くと大粒の涙を流しながら窓の外を見詰め一声うなる。


「う、あう~」


そうだよな、悲しいか幸。


人生最大の楽しみを奪われたんだから悲しいのは分かる。


でも、今は悲しんでる訳には行かないぞ。


何とかして科学部復活を目指さねば。


「ま、まぁ、幸、気を落とさないで、ね?宣言文をもう一度作り直して生徒会長に直談判しましょう。大丈夫よ。きっと又、復活できるわよ」


と、幸を励ましつつ、その日はそれで解散となった。あたしは幸と二人、学校前のバス停から帰りのバスに乗り込み、家路についた。
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