感方恋薬-知られざる月の館-
「へぁ~」


あたしは空気が抜けた風船みたいに椅子の背もたれにつっぷす。


それと同時に再び爺の気配が戻ってくる。


「ねぇ、爺、あんたの事、どうしても秘密にしておかなけりゃならないの?」


と、言うあたしの質問に爺は窓の外を遠い瞳で見詰め、髭を指で弄びながら


「まぁ、お約束だからのう。別にばらしても構わんが、変に思われるのは、貴子、おまえさんじゃぞ」


はい、そのとおりでございます…挫折


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