感方恋薬-知られざる月の館-
「一家に一人、科学部、科学部は如何でしょうか」


爺が言うには人間形から入るのも一つの手。


そう見れば簡単に廃部にされると言う事は形自体が成ってないのではと言う指摘だった。


確かにそうだ。


生徒会規約によれば部活として正式に認められるには部員が最低五人必要だと書いてある。


だが、科学部は二人(あたしを入れて三人)と言う事で先ずは基本の形すらなしては居ない。


従って、簡単に廃部に成ってしまうと言うのが爺の言い分だった。


―――確かに、御指摘の通りで御座います。


と、言う訳で、あたし達は、季節はずれの部員獲得作戦に打って出た次第なのである。


―――しかし


周囲の反応は、極めて冷たい物だった。


誰も相手にしてくれない。幸の趣味だけで運営されてきた得体の知れない部だ。おいそれと、入部希望者も現れる訳も無く―――
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