感方恋薬-知られざる月の館-
         ★


宿題を片付けながら、あたしは、ふと窓の外に目をやった。


雲一つ無い晴天の夜空は冷たい氷の壁の様に見えた。


そしてその感覚は、ぽっかりと浮かんだ満月の光が倍増させる。


太陽もそうだが、月が信仰の対象に成っている宗教は意外と多いらしいのは、この冷たい神秘性から来ているのだろう。


太陽はすべてを明るく照らす『明』のイメージ、月には昼間熱せられた物を冷やす『暗』のイメージが有る。


これはあたしが勝手にそう思い込んでるだけだから、何とも言えないが、世間一般の感覚も似た様な物ではないだろうか。
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