感方恋薬-知られざる月の館-
宗一郎はちょっと興味を示したそぶりを見せる。


あたしは懐からタロットカードを(どうやってしまって置いたかなんて突っ込まない様に)取り出すと、ゆっくりシャッフルし始めた。


そして、必殺『ケルティック・クロス・スプレッド』


「宗一郎さんの運勢を占ってみました」


あたしも負けずに彼に向って微笑みを返す。


「先ず、状況は…」


開いたカードは恋人のカード。


「好きな人が居ますね?」


あたしは宗一郎にそう尋ねた。


あたしの問いに彼は微笑みながらゆっくりと頷いた。


そして、あたしは順番にカードを開いて行く。


そして、最後に開いたカードは…

「月…か」

月のカードは、柔軟性や流動性を示す。つまり、彼の恋は流動的な物で一つの処に留まらないと言う事か―――


「浮気者なんですね?」


あたしの問いに宗一郎は、微笑みを崩さずに、ゆっくりと頷いた。
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