感方恋薬-知られざる月の館-

2) 科学部の帰還

呪文は爺に昨日習った。


あたしはバスの中で鞄から、その呪文が書かれたメモ用紙を取り出すと小さな声で再びそれを唱えて見る。


呪文自体は簡単な単語の羅列だ。


だが、それが咄嗟に口をついて出るかどうかが肝心なのだ。


何事に何しても、予習する事は必要なのである。あぁ、健気なあたし。


学校前のバス停でバスを降りグランドを玄関に向かって歩く。


その間も呪文の練習に精を出す。勝負はタイミングが肝心だ。


しかし…タイミングはどうしよう。


昨日ラブレター作戦は繰り出してしまったから同じ手は使えない。


何とかして宗一郎と二人きりにならなければならない。


うえ、問題や積みでは無いか。
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