感方恋薬-知られざる月の館-
彼はことのほか穏やかにあたしに訪ねてきた。


「あ、あのですね、今度こそ、外野がうるさくない状況で、会って下さいませんか?」


宗一郎は、ちょっと躊躇ってから、再びにこやかにあたしに答えた。


「わかりました、放課後、又、体育館裏でお待ちしております」


おー作戦成功…って能天気に喜んでる場合じゃぁ無いか。


舞台は整った、後はあたしの腕次第と言う事に成ってしまった。


貴子負けちゃいけないわ、ファイト!


「ええ、それじゃぁ、放課後に」


あたし達は、待ち合わせを確認すると、それぞれの教室に向かって別れた。


あたしは自分の教室で席に着くと、内から燃え上がる炎を必死で抑えながら放課後を待つ事に成るのだ。


うむ、色々な意味で、頑張らなければならない。


あたしは授業中その事で頭がいっぱい…授業ははっきり言って、ぼろぼろの状態だ。
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