感方恋薬-知られざる月の館-
永遠かと思われる位長い授業をなんとかこなして運命の放課後である。


「貴子さん、今日も実験に付き合って頂けますか?」


という幸の御誘いを軽く却下してあたしは体育館裏に向かって歩を進めた。


そこには彼が既に臨戦体制であたしの事を待って居た。


「やぁ、貴子さん、お待ちしておりました」


彼の笑顔は何故か信じられない。


何か裏が有りそうな、そんな雰囲気を醸し出していて額面通りの評価をして良いモノかどうか迷う場合が多いのだ。


その辺が、若様に支配された男の悲しさを醸し出していると言えるのかも知れない。


そして、対決開始である。
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