感方恋薬-知られざる月の館-
宗一郎の顔が前方5センチまで迫りつつある。


しかしあたしは幸の出現で正気に正気に戻って居る。


うん、この勝負、あたしが貰った。


――そして必殺の呪文


――効いたか?


宗一郎の視線が宙を泳ぐ。


しかも焦点が定まらない様に感じられるそして彼の意識が戻った。


「うわ!」


どあっとあたしも宗一郎の叫びでびっくりした。もう…


「そ、宗一郎…くん?」

あたしは、腫れものに触れる様に、彼に話しかけて見た。
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