感方恋薬-知られざる月の館-
「じゃぁ、今迄はレベル1だったって事?」


「その通りじゃ」


「でも、レベルアップのイベントも何にもなかったじゃぁない?」


爺は上機嫌であたしの部屋の中を、とことこと歩きまわる。


「なに、気が付かなんだか?」


「――う、うん」


「宗一郎との一件じゃ」


「え?」


あたしが驚いていると、若様が爺の横に、ふわりと現れた。


「で、出たな宗一郎!」


あたしはぴきんと身構える。


しかし、爺は涼しい表情であたしに話す。
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