感方恋薬-知られざる月の館-
「ですから、怯えないで下さいませ。大丈夫で御座いますから」


出た本人があたしに向かって再び語りかける。


が…


この声、雰囲気…何処かで聞いた事が有る様な気が…


あたしは、被った布団から、そ~っと顔を出す。


すると、出やがった奴は、あたしの顔を見て、にっこりと微笑んで見せた。


「ん?」


あたしは目を細めて、そいつをまじまじと見まわした。そしてはっと気が付いた。


「…じ、爺?」
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