感方恋薬-知られざる月の館-
館の扉は信じられない位大きなもので威圧感すら感じられるものだった。


でもって、あたしの正直な感想は『ほえ~』である。


こればっかしやな―――うん。


「さあ、貴子殿、こちらへどうぞ」


若様が、扉に向かって恭しくあたしを誘う。あたしは訳も分からずに扉の前に一人で立ち尽くす。


ぼわ―――――ん


ドラの音があたりに響き渡ると、ちゃっちゃらちゃっちゃっちゃちゃっちゃ~~~とどう聞いても中国風のBGMが大音響で流れる。


それに合わせてゆっくりと扉が開く。
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