感方恋薬-知られざる月の館-

4) パニック幽霊探知機

一向に洗面所を空ける気配の無い弟に業を煮やしてあたしは奴の横から手を出して、歯ブラシと歯磨き粉を取り出すと、負けじと歯を磨き始めた。


「は、はねひ、へまひよ…」


おう、狭いのは重々承知だ。お前が、とっとと場所を空けないのが悪いんじゃ。自業自得だ。


と、心の中で、ダークな事を考えながら、奴の横であたしもがしがしと歯を磨き始めた。


         ★


授業には全く身が入らなかった。


そんなの何時もの事だろうなんて言う突っ込みは、この際無視してあたしは、一応授業を熱心に聞く良い子を演じながら時間が過ぎ去るのを待った。


こんな状態で過ごす時間の何と長い事よ。
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