感方恋薬-知られざる月の館-
「あなた様に、呪術の技術向上を更に進めて頂きたい。その為に、この館で暫く修行して頂きたいと言うのが、あなた様を此処に呼んだ趣旨で御座います」


若様は軽く頭を垂れて、自分の胸元に右手を置くと、うやうやしくあたしに向かってそう告げた。


「呪術の技術向上?」


「はい、左様で御座います。先日学校の教室で有った様な出来事が起こらない様に、カード占いから、薬の作り方まで、あらゆることに関して技術的な向上をして頂きたいと思いまして」


あたしは、若様に向かって、うんうんと何度もお星さまぴかぴかの瞳で元気よく答えた。そうだ、教えてくれると言うからにはと、一応あたしは若様に訪ねてみる。


「教えてくれるのは…」


「はい、先ずは私が責任を持って御教え致します」


若様の爽やかな笑顔があたしに向けられる。同時に爺が更にいじける…どうせ、わしなんか…
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