感方恋薬-知られざる月の館-
ぼんやりする意識の中で最初に目に飛び込んで来たのは爺の姿だった。


「あれぇ…爺だ…何してるのぉ」


そう、心の中で呟いてみた。


はて、なんで爺が目の前に居るんだろう…うん、その横に居るのは…あぁ、若様かぁ。


わーい今日も会えたね、らっきー…らっきぃ?


そう思った処であたしは急激に覚醒した。


ちょ、ちょっと爺!


そしてあたしは、もんどりうって爺の横で転げ回りそうになった。何故か?幸が爺に何やらインタビューしているからで有る。

「こら、幸、何やってんだ!」


あたしは幸と爺の間に割って入り、爺の姿が見えない様に幸の目の前で両手をばたばたと振って見せた。
< 59 / 219 >

この作品をシェア

pagetop