感方恋薬-知られざる月の館-
あたしも則子にならってだんまりを決め込もうとしたのだが…


「ほら、彼女達、迷惑そうだから他に行こう」


軽ノリ今風高校生の後ろから長身で、こざっぱりとした雰囲気の男子が現れた。


「どうも済みません、御迷惑お掛けしちゃって」


彼は、そう言って、一礼するとナンパ野郎を引きずってその場から立ち去ろうとした。自慢じゃ無いが、あたしはナンパ初体験だったから、ちょっと興味津々。


横眼で、話しかけてきた男子の顔をちらっと見た。


そして、あたしは思わず、ハンバーガーを飲み込み事を忘れてしまった。


そっくりだったのだ。


若様に…
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